『健康を食い物にするメディアたち』を読んで

これを読みました。面白かったです。

私も正しくない医療情報と戦っているので、朽木さんに思っていることを言語化してもらった感じでした。ネットメディア、書籍、雑誌でセンセーショナルな記事があったり、テレビCMや番組内でも正しくない健康・医療情報とともに売られている商品があったりするけれど(p221 小林製薬のがん ばらないシイタゲンの話は姑息!)、どうしてそれが行われているのか、消費者に求められてさえいるのかをわかりやすく説明しています。

 

Amazon↓より。

<目次>
はじめに
私たちは、騙されている
医療デマは命に関わる
つけ込まれる情報の格差構造
医学部卒のネットメディア編集長

第一章 健康になりたい人とそれを騙す人
ラクに、簡単に健康になりたい私たち
騙す人は、医療の限界につけ込む
医療情報はますます複雑になる
メディアが伝える「健康・医療情報」

第二章 ネットメディアと既存メディア、分かれた明暗
WELQ問題とはなんだったのか?
WELQのほうが、まだましだった!?
変われない既存メディア

第三章 クロを切り捨て、グレーを探る
医療情報の5W2H
医療情報の5W2H 実践編
医療情報はコミュニケーション・ツール

第四章 それでも私たちは、「医療デマ」に巻き込まれる
「医療デマ」を信じ込むのは、普通の人
科学的ならそれでいいのか?
現代特有のフィルターバブル問題
「賢くなれ」だけでは変わらない

第五章 ネット時代の医療情報との付き合い方
正しい医療情報へのネットの追い風
規制強化というリアルの追い風
今、私たちにできること
ネット時代の「情報のリレー」

 

p63 可処分時間の話、

スマホの普及率が上がり、「新聞を読む」「テレビを観る」ことは、手元のスマホで「LINEを送る」「YouTubeを観る」「ゲームをする」などと同格になっているのです。

そのため、既存メディアは苦境に立っていて、より目立ち、より読まれる記事を書いたり、儲けるために怪しい商品を宣伝したりしてしまうんですね。以前から日本人は電車の中で、マンガを読むか寝ているかという人が多かったので、スマホがなくなったからといって、代わりにもっと有益なことをするとは思えません。でも、興味深い・面白い医療情報があれば、紙媒体しかない時よりも読まれて拡散もするだろうというポテンシャルを感じました。

 

 

p122 新聞社などの既存メディアが、DeNAWELQ事件が起こった際に一斉にネットメディアを批判したという話も大変興味深かった。WELQを一番に大きく取り上げて批判したのは著者だけど、Twitterではその他の人たちや私もWELQの利益追及と読者を馬鹿にした態度を批判していました。紙媒体の既存メディアは気づかなかった?記者、編集者、ライターといった職業の人たちも多くがTwitterをやっていた/いるので、既存メディア、特にマスメディアがもっと早くに取り上げればよかったのにと思います。

情報が氾濫する現在、まとめサイトの人気は高い。しかし、情報を提供するには、多大な労力と細心の注意を払って内容を精査する作業が欠かせない。DeNAの不祥事は、ネットメディア全体の信頼性を揺るがすことにもなりかねない。

こう書いたのは日経新聞デジタル版。その前に、既存メディアの信頼性が低下しているからこそ、ネットメディアの台頭がある。

 

 

最後の方、p282 ネット時代の「情報のリレー」は、批判だけに終わらず、 現状打開策を提示しているのがいですね。朽木さんが言うTwitterで「#情報のリレー」 をつけてバトンをつなぐやり方はgood。「#育児情報のリレー」、「#がん治療情報のリレー」と言ったように細分化したら、困った情報を集積、分析しやすいのではないでしょうか。

一方、間違った情報の通報や情報提供をするハードルは今なお高いので、おかしな説が放置されやすいのは、むしろ雑誌・書籍。

そうなってしまうのは、情報発信が一方的なためでしょう。出版されたものへの批判が、出版社に届きにくい。届いても数が少ないから、無視されてしまう。買って、特に声を上げない人が多いから、そのような人を対象にしたビジネスが続いてしまう。あるいは雑誌などは、もとより以外さや過激さを追求するメディアですから多少の批判はへっちゃら、ということなのかもしれません。

怪しい健康・医療情報や広告の苦情は、出版社にすべきなのか、保健所か、消費者センターなのか、判断が難しいけれど、ネットの健康情報はこちら。窓口が一本化していて情報提供が手軽ですね。私も通報したことがありますが、皆さんもぜひ利用してください。

www.mhlw.go.jp

 

 

私が仕事をしている際にも、保健所での健診、訪問助産師事業でおかしなことを言われたり、ひどい場合お母さんたちが叱られたりすることがあり相談を受けます。身近な人やミルク会社の人が病院内で行う『栄養相談』もアレルギーの話など間違っていることがあるし、どこに危険が潜んでいるのかわかりません。お金を儲けたい以外の理由で、若い母に『アドバイス』する人が多すぎる。初めて育児をする人が真贋を見定めたり、問い合わせたりすることはとても難しいし、時間もないのが困ったことです。 

 

『育児を食い物にするメディアたち』という本を誰か書いてくれないかな。 

そういう訳でこの本、お薦めです。 

 

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こないだサインしてもらった!

 

 

アピタル「小児科医ママの大丈夫!子育て」更新しています。実は1年半お世話になった担当編集さんが異動になり、これが担当してもらった最後になりました。K林さん、ありがとうございました。

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