『子どものアトピー性皮膚炎のケア』を読んで

少し前に出版された本。 

お子さんにお肌のカユカユがある人、この夏の暑さで掻き壊していませんか?

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 アトピー性皮膚炎の基本(アトピー性皮膚炎かどうか心配です。どこへ行けばいいの?/すぐには診断されない!?診断の目安と重症度を教えて! ほか)

第2章 アトピー性皮膚炎のスキンケア(肌の状態をよくするための正しい洗い方ってあるの?/どんなふうに保湿すると、効果的なのでしょう? ほか)

第3章 アトピー性皮膚炎の薬物療法(よく聞くステロイドって、一体どんな薬なの?/ステロイドは怖いと思われているのはどうして? ほか)

第4章 アトピー性皮膚炎の悪化要因対策(どういうことがアトピーの悪化要因になる?/食事や生活において気をつけるべきことは? ほか

 

すでにAmazonレビューでも高評価がたくさん付いてるけど、私が小児科医目線でいいなと思っている点を挙げます。

 

漫画家の青鹿ゆうさんの絵があるので、アトピー性皮膚炎を患者さんに説明しやすい。

堀向先生の文章を直感的に示す絵があることで、とてもわかりやすい。

例えばp50の皮膚のバリア機能が壊された状態がアトピー性皮膚炎だとか、p155の一見よくなった肌の下では炭火がくすぶっている状態だから良くなった途端に薬の塗布をやめたらダメだよという話、p222の食物アレルギーとアトピーの関係など。

私が患者さんに説明する際、見せることもあります。

トンデモ民間療法や「ぼくのかんがえたさいきょうのアトピー治療法」などでは、「アトピー性皮膚炎は原因不明」「食物アレルギーは食事制限がいい」で知識が止まっているのを見かけます。

これを読んでそういう人に騙されないようにしましょう。

ニセ医学で耳目を集めたりお金を儲けようとしている人は、なにも勉強しないで思いついたことをしゃべるのが「自分の頭で考える」ことだと思っているよう。

インスリンを投与させずに子どもを死なせてしまった事件の最高裁判決が出ましたね。

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「医学に頼らずに難病を治せる」という人がいたら、その話を聞く前に、わかりやすく医学を教える本書などを読んでみましょう。

 

患者さんへの指導法が具体的、実際的

「石鹸で洗ってよく流すことが大事ですよ」とは指導しますが、その際に「どのくらいの時間?」と聞かれたら、本書では「ゆっくり10を数えるくらい」とあります。

とても具体的でわかりやすいですね。

「保湿剤はたっぷりといわれたけれどどのくらい?」>乳児は小さじ1、幼児(3〜5歳)は小さじ2…

ステロイドは徐々にゆっくり減らす」のゆっくりはどのくらい?>お子さんによって違うものの数ヶ月から1〜2年。

などなど、私も診療で使わせていただきます。

 

外来で「私はいいと思うんだけど夫が絶対にステロイドはダメだって言うんです」というお母さんがいたり、「私は脱ステロイド、脱保湿療法をします」という人がいたりします。

ステロイドはもう50年以上前から使われているので、副作用の出にくい安全な使い方はわかっていますし、ある程度落ち着いたら別の薬に変えることもできます。

闇雲に恐れるのではなく、まずは本書を読んでみましょう。

育児の合間に読めて、しかも専門的な知識がやさしく学べます。

私のクリニックの近くでは皮膚科さんが2軒閉まっているので、皮膚疾患の子が多く受診します。

なので、読み返して改めていい本だなと思っています。

 

 

 

取材協力しました。夜驚症っていうものを知らないとものすごく心配になると思います。小さいお子さんをお持ちの人は一回読んでおくといいですよ。

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