離乳食、あれこれ
病院新聞の記事を書くのに先日、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」を見ていました。
生後5-6ヶ月に「なめらかにすりつぶした状態の食物を初めてあげること」が離乳の開始。
日本人は離乳食を7割の人がコメから、5-6ヶ月に初めます。他にも5割の人がジャガイモ、ニンジン、カボチャも使います。
離乳食開始以前に、果汁などをたくさんあげると却ってよくないという理由も書いてあって、勉強になります。
離乳食の初めの一ヶ月は一日一回(なめらかにすりつぶした状態のもの)、そして母乳やミルクはそれまでと同じ量あげます。
離乳食を始めて一月経ったら、一日に二回(舌でつぶせる固さのもの)あげます。母乳だったら子どもが欲しがったら欲しがるだけあげて、ミルクは一日に三回程度。
生後9ヶ月になったら、一日に三回(歯ぐきでつぶせる固さのもの)あげて、母乳はやはり欲しがるままにあげ、ミルクは一日に二回にします。
って書いてあるけれど、乳児健診でみんなそんなにうまくいってないのね。
うちの娘達もそうだった。まず、食べたがらないし、昨日食べたものも今日は嫌だし、ばっかり食べって呼んでますが決まった食材しか食べないってことは本当によくありました。
世界のお母さん達はどうしているのかなと思い、WHOの「補完食」も見てみました。
http://whqlibdoc.who.int/hq/2000/WHO_NHD_00.1_jpn.pdf
生後6ヶ月までは母乳以外のものを必要としないけれど、それ以降、母乳だけでは栄養的に足りなくなってしまうので、母乳の不足分を補う食事が補完食です。母乳・ミルクの次にあげるものだから、補完食≒離乳食ですね。
どの国にもある主食からあげると書いてあります。それが多彩で驚きました。
根菜類:キャッサバ、ヤムイモ、タロイモ、タニア、サツマイモ、ジャガイモ
でんぷん質の多い果物:料理用バナナ、パンの木の実、プランテーンの実
たまに「うちの子、お米のお粥は好きではなくてジャガイモは食べるんですけれど…」という人がいますが、全然問題無いですね。日本でジャガイモも手に入りやすいから。
そして、比較的少ない水で濃いお粥を作ります。お粥はすすることのできない濃さにしましょう。そしてその濃いお粥はスプーンで食べさせます。
絵とともに載っていたこの言葉が衝撃でした。傾けたスプーンから容易に落ちない程度ですって。だって、日本はお米の十倍粥から始めるじゃないですか。でも、再び厚労省のガイドを見ると確かに十倍粥とは確かにどこにも書いていないのでした。
赤ちゃんの胃の容量は200ml程度なので、うすく水っぽい食品は食べきれません。
と「補完食」にあります。そうなんですよ。食べたがらない上に、薄かったら栄養は不足しますね。
さらに、WHOの補完食にはエネルギーと栄養素を足すために粉ミルクや砂糖(あるいはマーガリン、ギー)、落花生ペースト(ピーナツバター)、胡麻ペーストを加えましょう、と書いてありました。
粉ミルクはよく足している離乳食レシピはあるけれど、砂糖と油脂ってあまり聞きません。けれど、厚労省のガイドにもp.43、「油脂類も少量の使用とする」と書いてありました。
アレルギーの予防には早期に多彩なものを食べるべきというのが
最近は、論文レベルじゃなくて普通にネットのニュースでも見られます。
確かにいろいろなものを食べさせたほうが、アレルギー予防の観点からも、栄養価からもよさそう。
それから「補完食」は、食事の回数がぜんぜん違うんです。
☆生後6ヶ月以上12ヶ月まで
子どもが欲しがるたびに母乳を与えましょう。
母乳育児されているなら、補完食を1日3回あげましょう。
母乳育児されていないなら、補完食を1日5回あげましょう。
☆1歳から2歳まで
子どもが欲しがるたびに母乳を与えましょう。
1日に3回の食事と2回の間食を与えましょう。
5回食???と思ったんだけど品質の良いミルクがない国を想定しているのかもしれません。でも食べたがらなかったら回数を増やすのも手です。
その他、食べたがらない乳児にどうやって工夫したらいいかなんてことも書いてあるので、お子さんの食事に困っている方は無料だし、一回読んでみることをおすすめします。
どちらも参考文献がたくさん書いてあり、国やWHOのしかるべき人が書いています。
子どもが食べるために母乳をやめなさいとか、2歳まで母乳だけというアレルギーも成長発達も無視したトンデモは書いていないから安心。
「健やか親子21」公式ページ 厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」
http://whqlibdoc.who.int/hq/2000/WHO_NHD_00.1_jpn.pdf WHOの「補完食」
ameblo.jp ちらっとモンゴルの離乳食について以前書いた記事。