祝☆ドラマコウノドリ完結

第2シーズンのコウノドリ、今日が最終回ですね。

リアルタイムで見られるようにがんばります。翌日が休日だし。

 

マンガも好きで、今までの医療マンガはすごくドラマチックだけれど現場にいる人が見たらツッコミどころ満載というのが多かったじゃないですか。 

コウノドリは、医療関係者にとって「そうそう、あるある」って思いながら読んで面白く、こんなに病院の普通の日常をマンガにして、一般の人は面白いのかしらと心配するレベル。 ドラマになってもさらに細部まですごくリアルな作品ですね。

 

今日は私がずっと引っかかっていた話、どのくらい内輪ネタで終わるのかよくわからない話です。

 

私が研修医だった頃、NICUはこういう服装で働くところでした。ディスポーザブルの帽子、マスク、給食当番のような白い防護ガウン、靴棚で滅菌されるスリッパ。入室前の手洗いはオペ室と同じようで、イソジンとブラシが置いてありました。

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研修医だからNICUマニュアル的なもの、小児・新生児薬容量の本、カルテや指示表を書くためのペン、人によってはエコーや採血結果を貼るためのハサミと両面テープを持ち歩いていました。

この頃、私は勝手に女医当直室新聞を書いていて、髪を切ったのに誰も気づいてくれない、後輩が“先生それはわからないですよ”とつっこむ4コママンガを載せました。

 

 

 

 

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その後、後期研修も無事終わって行ったNICUではこんな服装の時代でした。帽子なし、半袖のガウン、院内履き。手洗いはブラシを使うと却って手が荒れて、皮膚の亀裂に雑菌が入り込むことから、洗うけれども手袋を多用するようになりました。NICU内で手術をする際には、この服装で帽子とマスクをしました。

 

 

 

 

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そして今はこんなじゃないですか。

1990年代はご家族も医師と同様の格好をしてもらっていたし、2000年代は黄色いディスポのガウンを普段着の上から着てもらい靴を履き替えてもらいました。

大阪母子医療センター新生児科の今西先生に聞いたら、現在は医師もご家族もガウンはなくなり、靴の履き替えもしないそうです。すごい。

そして、電子カルテだと思うので文房具はあんまり身につけていないでしょう。

 

こういった服装の変遷は、医学的根拠に基づいています。ブラシを使って手洗いしたのと手洗いはそれほど徹底的じゃないけれど手袋を装着したのとでは、どちらが細菌数が少ないか、帽子やガウンの有無で感染症が増えるかどうか、靴の履き替えはどうかのように検証され、効果がないものは中止されます。

 

看護師のナースキャップがなくなったのもそうですね。医療的に必要性がないうえに、キャップがあると手を頭に持って行くことがあり余計に不潔になるため廃止。

1990年代のNICUは、赤ちゃんたちのために子供用の音楽が流れていましたが、未熟性の高い赤ちゃんは音楽を音楽として認識していない・楽しんでいないとわかり廃止。

観察がしやすいように煌々と明るかった照明は、未熟性の高い赤ちゃんの眼によくないため、状態の落ち着いた赤ちゃんの保育器には暗幕をかけます。その上、ほぼ毎日眼科の先生が回診して未熟児網膜症を診てくれていたので、病棟はしばしば真っ暗になります。

 

面会時間も以前と今ではだいぶ違うようで、今西先生の話はびっくりすることばかりでした。新生児科の先生方、これからも大勢の家族を幸せにしてください。

 

以上のようなことをぜんぜんふまえなくてもコウノドリはとても興味深く意義の大きいドラマです。エンターテイメントで周産期の知識を持ってもらうのは、すばらしいなと思います。