http://mainichi.jp/shimen/news/20150830ddm001040149000c.html
このニュース、皆さん読みましたか?
えっ?効果がないの?とタイトルだけ読んでインフルエンザワクチンを受ける人が減ってしまうのではないかと心配。よく読むとわかるんですけど、小学生までの子たちには予防効果が高いんですね。
インフルエンザウイルスA型は1〜2歳=72%、3〜5歳=73%、6〜12歳=58%に予防効果あり。A型の中で09年に世界的流行をしたH1N1型は1〜2歳=67%、3〜5歳=84%、6〜12歳=90%だったそう。B型には予防効果が全年齢で26%だった。
という結果です。この記事には13-15歳はA型もB型も効果がなかったと書いてあります。成人でもインフルエンザワクチンは4割程度の効果と聞いていたので私は上記の年齢群では高い効果だと思います。
研究結果はどういう切り口から紹介するかはとても大事なんだけど、この記者は「効果がない→受ける意味がない」っていうふうに誘導したいのか?と思わせるようなタイトル。
大いに不満です。
「あの書き方さあ、ひどいよね。”1歳から小学生には高い効果”って書くべきじゃないの?」
と同級生の小児科医に言いました。すると
「ああ、あの慶応の論文でしょ。現物を読んでいないからわからないけど…」
「結局、0.5mlを2回打たないと効果がないっていうことでしょう?」
「はっ!」
そうなんです。13歳を境に0.5mlを1回接種という方法に変わるんです。インフルエンザワクチンは
生後6ヶ月から3歳未満 0.25mlを2回
3歳から13歳未満 0.5mlを2回
13歳以上 0.5mlを1回
という接種量、回数。生後6ヶ月-11ヶ月では効果がなかったと書いてあるけれど1歳未満は初めてのインフルエンザ感染なわけで、あの研究結果は1回罹った後にワクチンを2回受ければ効果が高いとも読み取れるのです。罹患歴のない人にはインフルエンザ抗体価は上がりにくいが、小児は2回接種により予防効果が高いということ。
「俺はインフルエンザワクチン2回打ちはずいぶん、効果があるなって読んだよ。うんうん。」
確かにそうだわと思いました。日本のワクチン量は欧米よりも小刻みで少なかったので他の先進国に合わせたのが2011年。アメリカは13歳未満は2回、イギリスは初回接種のみ2回打つそう。
抗体上昇が大人のようではないから小児は2回受けましょうということになっているんだけど、この論文は、効果が低かった13〜15歳で2回受けたらどのくらい予防効果が上がるのかということを続編として研究結果を出してほしい。
いつもアホではないかと思いつけていた同級生だったので、目の付け所が違うというか、実は頭がいいのかもと思いました。
ソースの論文を読むとワクチンは入院になるようなインフルエンザによる脳症、肺炎を減少させたと肯定的に読めることがわかりました。従来のメタ解析では重症化を防げないということだったのに。
うちの娘達も毎年、インフルエンザワクチンを受けていますよ。もちろん私もハイリスク群だから職業柄、1シーズンに2回受けてます。受験生さんも任意のワクチンだから2回受ける人もいます。
今までも聞かれると薦めていました。
外国の事情がわかったので面白かった発言小町。
子どもが受けるその他のワクチンについても書いてあります。
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一部、引用していた数字が間違っておりました。申し訳ありません。13-15歳にはA型の予防効果が12%しかなかったようです。で、でも2回打ったらわからないわ!と思います。