私が診療をしている区では、インフルエンザワクチンの助成制度があります。子どもは1歳から中学生まで1000円引きです。いい制度ですが、穴があります。
「生後6ヶ月からインフルエンザワクチンを打てるはずだけれど、助成がないということは受けても効かないということ?」という誤解を生みます。
厚生労働省のとても見づらい読みにくいホームページには、こうあります。
ちょっと何を言っているのかわかんないですね。
ゼロ歳児を乳児と呼びますが、じゃあ乳児はインフルエンザワクチンをどうしたらいいのか、厚労省がどう考えいているのかは、サンドウィッチマン富澤さんです。
税金で作られるホームページは、万人にわかりやすい日本語で書かれないといけません。要旨をはっきり!
WHO世界保健機関のホームページを見てみましょう。私のコンピュータはMacなので⌘クリックで英語から日本語にしてくれます。
WHO | World Health Organization
とてもクリアでわかりやすいですね。生後6ヶ月の子どももインフルエンザワクチンを受ける優先度は高い、受けるべきだという考えです。日本の市区町村は助成制度を作るときに、こういったことを考慮していなかったと思います。
だから医療機関の窓口でも、こう言われることがあるとある人が教えてくれました。
「1歳未満には助成がないんですよ。それでもお子さんに受けさせますか?」
善意からだとは思いますが、予防接種を控えさせることになります。せっかく調べて受けることを選んできた保護者の気持ちをくじいてしまっては、お子さん自身も集団としても感染予防に不利です。窓口の人、勉強してください。
さらに不勉強な人がいて、妊娠した女性がインフルエンザワクチンを受けに行ったところ産業医がこう言ったそう。
「妊娠しているのにインフルエンザワクチン?打ってもいいけどなにかあったら自己責任ですよ?」
これは善意のかけらもなくて、無知で調べることをしようとしない怠惰な医師。
先程のWHOのページをもう一度見てみましょう。
WHO | World Health Organization
日本では以前、妊娠後期の女性しか打ってはいけないんじゃないかという考えがありました。
現在は違います。妊娠初期でも、中期でも、後期でも最優先でインフルエンザワクチンを受けるべきなのが妊娠中の女性。妊娠後期に女性がインフルエンザワクチンを受けると、その後生まれた赤ちゃんが、乳児期早期のインフルエンザ予防ができるという報告もあります。生まれてから生後6ヶ月まではインフルエンザワクチンを打つことができませんから、大事。
この記事を用意している12月第2週は、インフルエンザワクチンがまだ不足しています。受けたいという方たちのお問い合わせには、ご迷惑をおかけしています。12月後半には充足するくらい入荷すると各方面の人が言っていますので、期待しましょう。現場は大変です。
この2冊は、ワクチンのことを知るために特にお薦め。
追記ですがもちろんこの本も。
小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK 疑問や不安がすっきり! (専門家ママ・パパの本)
- 作者: 森戸やすみ,宮原篤
- 出版社/メーカー: 内外出版社
- 発売日: 2019/09/21
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
Twitterなどで個別に質問されることがありますが、なかなか個々人にお話することはSNSでできません。かかりつけで相談してください。受診するほどでもないけれど気軽に小児科医、産婦人科医に質問したいとか、他の人達はどうしてるの?という場合はオンラインサロンもありますよ。