乳児健診をしていたら久しぶりに「ワクチンは受けたくないんです」というお母さんがいました。
「お母さん、おたふくが今この辺でとても流行ってるんだけど、おたふくにかかった子の1000人に1人は難聴になっちゃうのよ。ムンプス難聴は聴覚が戻らないの。」
「へー!」
(へーって?)
「そしてお子さんみたいに男の子がかかると男性不妊になる可能性があるの知ってる?」
「へー!」
(これもへーって???)
とびっくりしました。一般にアンチワクチンの人は結構勉強家が多く、本を何冊も読んでいたりします。もちろん彼女たちは自分の子どものためにと思っているのです。なので、この女性も彼女なりの勉強をした結果受けさせないと言ってるのかと思ったのに違ったんです。けっきょく、このお母さんには「ワクチンはいらないという本を読んだら、ワクチンは必要だという本も両方読んでね。」と言いました。
私はムンプス難聴は感染者の1000人に1人だという本を読んでいたけれど、最近は100-200人に1人という報告があるそう。
そして、その10%は両側性の難聴になると言われているそうです。1000-2000人に1人が全く聞こえなくなるということです。ムンプス難聴に治療法はありません。
2-5クラスの子のうちの1人が、音が聞こえなくなる、2-3校のうち1人が聾になる計算。誰がその1人になってしまうのかは選ぶことができません。私は高い危険性だと思います。
もしも、ワクチンがそんな頻度で副反応を起こしたら、効果があっても絶対に認可されません。
そしてその後、別のお母さんは子どもの1人がおたふくになった時、おたふくパーティをしたと言うのです。他の兄弟に移るよう近くにいさせたし、おたふく風邪をもらいたいお友達を呼んだそう。「無事、かかってみんな軽かったです。」と言っていました。
感染症パーティの存在はネットで知っていたけれど、実際に当事者を診たのは初めてでした。おたふくをもらった子どもが難聴や髄膜炎や男性不妊になる危険性をもっと重く考えた方がいいし、もしもなってしまったら子どもはとても可哀想なうえ、パーティを催した親に対して訴訟を起こされるかもしれないと考えた方がいいと思います。
自分の子どもやその周囲は、100-200分の1にはなるはすがないと思っているかもしれないけど。
Twitterで知りましたが「親戚の医療に詳しい人がおたふくは任意接種だし、受けなくていいと言ったから」とムンプスワクチンを受けずに子どもが難聴になったということがあるそうです。
「アトピー性皮膚炎にステロイドは塗らない方がいいよ」とやはり”医療に詳しい人”から聞いた例もあるそう。本当の医療関係者だったらまず、言うはずがありません。
でも、迷っているお母さん、ワクチンやステロイドは怖いものなんじゃないかと心配しているお母さんは、すがってしまいたくなるものなんでしょうね。
近藤医師の癌と戦うなという言葉と同様に耳に、優しいから。
注射を痛がる子どもを見るのはつらいことかもしれませんが、病気になるよりまだいいんです。
ぜひ、迷ったら出どころの確かな信頼できる専門家の書いたサイトを見てください。