『専門家が教える新型コロナ・感染症の本当の話』を読んで

こんにちは。

最近は、本ばかり読んでいます。

それを上回るペースで買ってしまい、積ん読は減りません。

でも、これは今読まないと!そして多くの人に読んでほしい!と思ったのでブログにします。

忽那賢志先生は、感染症専門医で、大きな病院で日々新型コロナウイルス感染症、COVID-19の患者さんを診ている先生です。

知っている人がたくさんいると思いますが、Yahoo!個人でとてもわかりやすい解説を頻繁に更新してくれていますね。

news.yahoo.co.jp

 

本書目次はAmazonより

第1章 感染症とは何か
第2章 日常のなかの感染症
第3章 次々と発生する新興感染症
第4章 新型コロナウイルス感染症とはどんな病気か
第5章 感染はどうしたら防げるか
第6章 社会問題としての新型コロナ
第7章 SNS時代の感染症
終章 次のパンデミックに備える

このように、1−2章は感染症とは何かとか、どういうものかという話。

 

この辺をよくわかっていない保育園・幼稚園関係者が、保護者に「お子さんの鼻水と咳は感染症かどうか診てもらってください」と指示したりします。

小児科に来てくれたときに私は「風邪も感染症なのにね」と保護者の人と話しますが、保育の専門家はそういうことを言ったらはずかしいのでこの辺をよく読んでください。

 

感染症一般とSARS 、MERSまでは知ってるよという人は第4章から読みましょう。

p108に、ウイルスが感染した際、季節性インフルエンザは症状が出てから排出されるウイルス量がピークになり、COVID-19は症状が出ない時期にピークという図が出てきます。

8割おじさんと呼ばれる西浦博先生は、実際の患者さんを見てではなく、データからこれを推察する話が出てきます。すごい。さすがプロ。

 

いろいろなところで、いろいろな人が「空間除菌」がダメな理由を書いていますが、私も書きました。

www.buzzfeed.com

忽那先生もp177で消毒液の空間噴霧が危険なこと、「空間除菌」は誇大広告であることを書いています。

噴霧するもの、首から下げるもの、置いておくものはみんな効果は証明されていませんし、むしろ危険性があるので使わないようにしましょう。

 

 

他にも、PCRで2回陰性になったら復帰していいというルールが変わった理由、ユニバーサルマスクという症状がない人もマスクをすることが大事な理由、PCRはやたらめったらやったらダメな理由などが、平易な言葉で書いてあります。

特に、日本はPCRの数を増やさないとダメとか、封じ込めをした国はみんなPCRをもっとやっているからだと主張する人には読んでほしい。

前にご紹介した峰先生と西浦先生の本にもありましたが、忽那先生のこの説明なら分かる人がいるかも知れない。

つまり、PCRを増やせば感染拡大がおさまるわけではないと、今回初めて理解できる人がいるかもしれない。

yasumi-08.hatenablog.com

 

yasumi-08.hatenablog.com

Twitterでは「PCRを抑制する悪の一派」のようにいう人がいますが、不思議。

 

 

私が小児科医としてとても嬉しかったのは、BCGと季節性インフルエンザワクチンのところです。

p149 BCGワクチンは、以前から小児の呼吸器感染症や敗血症を40-50%減らすことや低出生体重児の死亡率を減らすことが示されていたようです。

ブラジルではインフルエンザワクチン、MMRワクチン、ポリオワクチンが新型コロナウイルス感染症を減らしたという話もあるそうです。

p198 アメリカでは65歳以上の高齢者では、インフルエンザワクチンを受けていると新型コロナウイルスによる死亡率が減るということもあるようです。

 

小児科は、コロナ禍で受診控えが一番多い科の一つです。

「こんな時期に病院(クリニック)に行ってコロナをもらったら大変」と思い行かなかったり、3密を避けた結果感染症にかからず足が遠のいたという人がいると思います。

なので、小児科医の仕事の半分以上が予防接種という日もありました。

そんな日常業務として普通の予防接種をしていることが、新型コロナウイルス感染症を減らすことにつながる、重症化を防ぐことにつながるってものすごく喜ばしいことです。

新型コロナウイルス感染症治療の最前線にいる医療者を助けるということにもなっているんだなと感じました。

 

 

忽那先生はこの本、一兆部を目指すといっています。

 地球上の人口は76億人のようなので、日本語を話さない人も含め一人132冊買ってもらえば可能ですね。

どちらが実現可能なのか……

 

 

まずは1冊どうでしょう。