「医師が教える最善の健康法」を読んで
名取先生の新刊が出ました。
面白かったです。【もくじ】はアマゾンより。
第1章 ☓ついやりがちな間違った健康法
1・単純な糖質制限食
2・フードファディズム
3・健康食品の摂りすぎ
4・特殊な健康法
5・効果に乏しいがん検診
6・過剰な検査や治療
7・根拠なしの医療情報
第2章 ◎ぜひやっておきたい健康法
1・最優先すべきは禁煙
2・重要なワクチンの接種
3・適度な運動をする
4・適正体重を保つ
5・きちんと睡眠をとる
6・お酒は適量にとどめる
7・薬の容量・用法を守る
第3章 ○できたらやっておきたい健康法
1・玄米や魚、野菜、果物をとる
2・赤肉や加工肉、熱い物は控えめに
3・手洗い、うがい、マスクで風邪予防
4・食中毒のリスクを回避する
5・個別に必要なワクチンを接種
6・有効な健康診断を受ける
7・推奨されているがん検診を受ける
特別編 エビデンスの見方
第1章は、ついやってしまう、よくある健康法。
つい先日、私はTwitterで「○○ダイエット法」というのを見かけました。
ハッシュタグで検索したところ、糖質を摂らずタンパク質だけ食べて運動をするというものらしく、この本の「単純な糖質制限食」と「フードファディズム」の部分を読んだら、選ばないだろうなと思いました。
フードファディズムとは、「食品や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信奉したりすること」です。
残念ながらエビデンスはありません。
○○だけ食べる、△△だけは避けるという食事方法は、普通の食事に戻るとリバウンドします。
また、私は小児科医だから大人のがん検診については詳しくないので、「効果に乏しいがん検診」を読んでとても勉強になりました。
がん検診はとにかく受ければ良いものではないんですね。
偽陽性といって本当はがんではないのにがんの疑いがあるという検査結果が出た場合、さらなる検査を受けるのには医療費としてのコスト、医療機関に行く時間をとるというコスト、精神的に不安になるコストが生じます。
また、「症状が出てから治療しても間に合ったり、検診で見つけてもすでに手遅れだったりするがんについては、早期発見による利益はない」とあります。
確かにそうですね。
今、Twitterで甲状腺がんのスクリーニングをやめたらいいのにということが話題です。
国際的にがん検診が有効とされているがんは、子宮頸がん、乳がん、大腸がんですって。
日本で公的に推奨されているのはさらに、肺がん、胃がん。
本書にありませんが、私は神経芽細胞腫という子どもに多いがんのマススクリーニングがあったことを思い出しながら読んでいました。
以前は、赤ちゃんが生後6〜7ヶ月になると尿を採取して提出するもので、日本で生まれた子どもの9割が受けていました。
乳児健診の際に「提出しました?」と確認するのが、私の仕事でした。
でも、死亡率減少に効果がなく、神経芽細胞腫は自然に退縮することのあるがんなので、手術などの治療を受けさせることに問題意識を持たれるようになり、2004年に中止されました。
私も長女のときには提出しました。
尿を取るだけなので子どもにデメリットのない検査ですが、検査費用はかかるし、陽性あるいは偽陽性で「あなたの子どもはがん(あるいはがんかもしれない)です」と言われたときの親の心理的負担は相当なものだったと思います。
次女が生まれたときには神経芽細胞腫のマススクリーニングはなくなっていたので、「ああ、用紙がないな。中止されたからな」と思っていました。
本書に出てきたリキッドバイオプシーは、アルバイトをしていたクリニックで自費でやらされたことを思い出しました。
血液検査をしただけで全身のがんとそのリスクがわかるという検査法です。
でも、「がん死」を減らしたというエビデンスはないんですって。
あー、そんなことにお金を払わされてしまったと思いました。
2章も3章も面白く読みました。
ぜひやっておきたい健康法とできたらやっておきたい健康法。
結局、タバコを吸わず、ワクチンを受けて、適度に運動して、眠って、お酒は飲みすぎない、薬を飲んでいる人はちゃんと飲むってことが大事なんですね。
私はもともと喫煙者ではなく、ワクチンの重要さをわかっているし、最近は任天堂スイッチのFit Boxingを始めました!
毎日、15分間運動すると泣きたいくらい酷かった私の肩こりがなくなりました!
お酒は減らすことは難しいけれど、名取先生は生活の質を落としてまで健康のためになにかしなくていいというスタンスなのが、優しくて嬉しい。
第3章は食事療法のことが載ってます。
私は玄米にしているけれど、外出先では普通のご飯。
全粒粉パンを焼いて朝はみんなでそれを食べています。
玄米を食べた日本人が、どのくらい健康になったかというエビデンスはないんですって。
「特別編 エビデンスの見方」は、健康に関する情報だけでなく美容系のものを読むときにも知っておくといいです。
効果があるというのはどういうことか、ある時から「個人の感想です」と書かれることが多くなったのはどの程度信用していいのかということがわかります。
そういうわけで、週刊誌やテレビ、ネットの健康情報を見て「これって、どうなの?」と思うことがある方には特にオススメです。